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2014.09 (愛知県犬山市)博物館明治村 天童眼鏡橋保存修理工事

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天童眼鏡橋 施工前
天童眼鏡橋は山形県天童市に明治20年石造二連アーチ橋として建設されました。 築造から127年が経過し、苔や藻などが付着し、石の表面などがはがれるなどの劣化が進んでいるため、 移築後38年目を迎えた天童橋の保存修理工事です。
石材は天童付近に産する山寺石(やまでらいし)が使われています。山寺石は現在採掘されておらず、石の取り換えは難しい石材です。 そのため、石を傷めず長持ちさせるのが課題で洗浄に加圧超高温水洗浄、保存のため含浸型防水剤、透湿型撥水剤のダブルコートが採用されました。

石材調査
各石材の劣化部分を検査し、撮影、ノートに控え現状記録。後でどの部位をどのように修理したか確認します。

足場仮設工事
西側そして橋下のステージ組、西側の施工が終わると解体し東側へ移設。

加圧超高温水洗浄
山寺石は表面が劣化して脆くなっているため、加圧超高温水洗浄が採用されました。 高圧洗浄や温水蒸気洗浄などよりも低刺激で洗浄による石への負荷を減らせる洗浄方法です。
膨張圧による深部への浸透、熱と誘電率の溶解、加水分解を促し、汚れを排出します。
洗浄をしてみると石は薄桃色で、日焼けしている箇所ほど赤みが強い山寺石本来の姿を現しました。

石材取り外し
橋の両側の欄干は埋没しているため、採掘し取り外しました。 後に地盤調査をし、再埋め込みします。

SUS補強
橋の老朽化に伴い、安全を確保するためにSUS挿入し、橋の補強を行いました。

石材補修
修繕前の原形を極力残し、経年劣化も含めた補修をします。

メディア取材
天童眼鏡橋は移築後、初めての大規模修繕工事で大変関心が高く、新聞社、テレビ局等の取材を受けました。

見せる工事・視察団
明治村では開村中に作業をするため、お客様の安全確保には細心の注意を払います。 工事の説明に熱心に聞いてくださるお客様もおいでになりました。道案内をすることもしばしば。 また、この工事中にトヨタ産業技術記念館ではゲリラ対策で中庭を掘り進めていたところ、煉瓦煙突基礎部が発掘され、保存露天展示することになりました。 同種の保存工事という事でご関係者が視察に来られました。

SUS穴成形

加圧超高温水洗浄
橋の裏側、側面、東側欄干、歩道も洗浄。

土地改良
埋没していた箇所を土地改良し、鉄筋生コンで基礎を固めます。

石材据え直し

埋め戻し・アスファルト復旧
地中に埋もれていた部分を嵩増し、石材を据え直し。

左官工事
石材が崩落し、脆くなっている部位は安全確保のためモルタル補強しました。

折れ部補修
折れ部は旧モルタルを剥がし、擬石補修後SUS補強しています。

含浸型防水剤塗布
ナノガードOX-02。針状結晶を形成する防水剤で耐水性付与と水の浸透を抑制します。 噴霧器と刷毛塗りで均一に含浸塗布させます。

透湿型撥水剤塗布
ナノガードB。石表面の水捌けをよくするには、撥水性と透湿性が必要です。 塗膜を形成せずチタン鎖体を用いた耐候性のある強化剤を塗布します。

補修前後
施工前 洗浄後 補修後
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